
毎日、ご家族の介護をされている皆さま、本当にお疲れ様です。寝たきりの方や医療的ケアが必要な方の在宅介護は、体力面だけでなく、精神的にも想像を絶する負担がかかっていることと思います。
今回は「ご家族向け・やさしい介護のヒント」として、在宅介護の限界を感じた時にぜひ知っておいていただきたい「小規模多機能型居宅介護」というサービスについてお話しします。
「デイサービスとショートステイを使っているけれど、急な対応をしてもらえなくて困った……」 そんな経験があるご家族に、ぜひ届いてほしい情報です。
通常の「ケアプラン」に潜む限界とリアル
現在、デイサービスやショートステイを利用してご自宅で介護をされているご家族は多いと思います。私たちケアマネジャーは、ご家族の負担を減らすために毎月のスケジュール(ケアプラン)を事前にしっかり組み立てます。
しかし、介護の現場では「事前の予定通り」にいかないことが日常茶飯事です。
- 「私が急に熱を出して倒れてしまった!今日どうしてもショートステイで預かってほしい」
- 「冠婚葬祭で急遽、明日から家を空けなければならない」
このような「急なSOS」があった時、私たちケアマネジャーも全力で各事業所に電話をかけ回ります。しかし、通常のデイサービスやショートステイは事前の予約で定員が埋まっていることが多く、「ベッドが満床でどうしても受け入れ先が見つからない」という悔しい現実に直面することがあります。 結果として、ご家族が無理をして倒れてしまう……という悪循環に陥るケースは少なくありません。
柔軟性バツグン!「小規模多機能型居宅介護」とは?
そんな「急な困りごと」に柔軟に対応できる、ご家族の強い味方が「小規模多機能型居宅介護(しょうきぼたきのうがたきょたくかいご)」です。 実はこのサービス、ご存知ないご家族が非常に多いのです。
一言でいうと、「通い(デイサービス)」「泊まり(ショートステイ)」「訪問(ヘルパー)」の3つのサービスを、1つの事業所でまとめて、しかも臨機応変に利用できるサービスです。
最大の魅力は「定額制で、柔軟なサービス変更」が可能であること。あらかじめ登録した利用者様だけを対象に支援を行うため、「今日は体調が悪いから、デイサービスを休んで、お昼にヘルパーさんに来てほしい」「家族が急病だから、今夜から急遽お泊まりさせてほしい」といった当日の急な予定変更にも、かなり柔軟に対応してくれます。
「デイ+ショート」と「小規模多機能」の違い
これまでのサービスと何が違うのか、分かりやすく表で比較してみましょう。
| 比較項目 | 従来の「デイサービス+ショートステイ」 | 小規模多機能型居宅介護(小多機) |
| 予定の柔軟性 | ❌ 事前の予約が必須。 急な変更や追加は難しいことが多い。 | ⭕️ 当日の急な変更にも柔軟に対応。 「通い」から急遽「泊まり」への変更も可能。 |
| スタッフの顔ぶれ | ❌ デイとショートで別の事業所・別のスタッフになるため、利用者が混乱しやすい。 | ⭕️ 通いも泊まりも訪問も、すべて「いつもの馴染みのスタッフ」が対応。安心感が大きい。 |
| 利用料金(目安) | 🔺 使った回数分だけ加算される。 (※介護度による上限あり) | ⭕️ 月額の定額制(※食費や宿泊費は別途)。 回数が増えても介護保険の自己負担額は一定。 |
| 担当ケアマネ | 🔺 現在担当している地域の居宅ケアマネジャーが継続して担当。 | ⚠️ 小多機の事業所に所属する専属のケアマネジャーに変更となる。 |

これまでは小規模多機能のメリットについてお伝えしましたが、実はデメリットもあるんです。
デメリットとして・・・
- 小規模多機能居宅介護事業所には専属のケアマネジャーがおり、変更する必要があります。また、ケアマネジャーを選ぶことができません。
- 他の事業所が提供しているサービス(デイやヘルパー)などとの併用はできません。
- 小規模多機能居宅介護は毎月定額ですので、あまりサービスを利用していなくても、同額の利用料が必要となります。利用回数が少ない場合は、他の事業所が提供する介護サービスと比較して割高となることがあります。
重度の方の介護にこそ「小多機」をおすすめしたい理由
しかし、寝たきりの方や重度の要介護状態の方を自宅で看ているご家族にとって、小規模多機能は以下の点で非常に適しています。
- 「いつもの顔」が看てくれる安心感 重度の方や認知症の方にとって、環境の変化は大きなストレスです。小多機なら、デイサービスでいつも顔を合わせているスタッフが、そのままお泊まりの時も、自宅への訪問の時も対応してくれます。「〇〇さんの性格や状態」をスタッフ全員が深く把握しているため、安心して任せることができます。
- ご家族の「いざという時の安心担保」 「もし自分が倒れても、あの小多機に電話すればなんとかしてくれる」という安心感があるだけで、ご家族の精神的負担は劇的に軽くなります。

医療的ケアが必要な方、医療的ケアの重要度が高い方などは、看護小規模多機能型居宅介護も検討してください。
まとめ:限界が来る前に、まずは相談を!
私たちケアマネジャーは、ご家族が無理をして倒れてしまうことを一番心配しています。
デイサービスとヘルパー、ショートなど介護サービスの組み合わせでは、区分支給限度額の関係で、受けられるサービスの量に限界がありますので、場合のよっては小規模多機能居宅介護の方が都合がよかったりします。
区分支給限度額とは、介護度に応じて1カ月間に利用できる介護サービスの合計単位数の上限で、単位数とは、基本的には1単位が10円となりますが、地域単価が設定されており、人件費の高い東京23区では、最高で1単位が11.4円となっています。(厚労省の資料より)
もし今、通常のデイサービスやショートステイの組み合わせで「もっとサービスを増やしたいけど、自己負担が発生すると言われた」「予定通りにいかない」「急な対応ができなくて精神的に限界が近い」と感じているなら、ぜひ一度、担当のケアマネジャーに「小規模多機能って、うちの地域にもありますか?」と聞いてみてください。(※小多機を利用する場合は、現在のケアマネジャーから小多機のケアマネジャーへ担当が変わることになりますが、ご家族の生活を守るための前向きなバトンタッチです!)
介護は長距離マラソンです。一人で、あるいは家族だけで完璧にやろうとせず、もっと柔軟に動いてくれるプロの仕組みに頼ってくださいね。



