
全国のケアマネジャーの皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。これまでこのブログでは、AIを使ったケアプラン作成など、業務効率化のノウハウをお伝えしてきました。
しかし、現実の現場を見渡すと、「AI? パソコン? 正直苦手です……」というケアマネさんが圧倒的に多いのではないでしょうか? 実は、私の事業所も例外ではありません。私以外の3人の女性ケアマネは、日々押し寄せるIT化の波に大変苦戦しています。
ネット上では新しいシステムへの不満が溢れていますが、はっきり言います。 「面倒くさい」と文句を言っているだけでは、これからの時代、事業所ごと確実に取り残されます。
この記事では、当事業所のリアルなICT化の現状、国が進める「介護情報基盤」の脅威、そしてアナログな現場が生き残るための「たった一つの解決策」についてお話しします。 これを読めば、なぜ今ICTに向き合わなければならないのかが分かり、事業所全体で前に進む勇気が湧いてきますよ。
当事業所のリアル。法人の積極投資と「現場の戸惑い」
介護業界は長らくアナログと言われてきましたが、いよいよ本格的なICT化の波がやってきました。 私の所属する法人でも、昨年からICT環境の整備に積極的な投資が行われています。
【当法人で導入されたICT環境】
- 音声入力&AI要約ツール(記録業務の短縮)
- パソコンのデュアルモニター化(2画面で作業効率アップ)
- ケアプランデータ連携システムの導入(令和7年11月〜)
経営陣は「これで業務効率が上がるぞ!」と期待していますが、現場の現実はそう甘くありません。 特に「ケアプランデータ連携システム」は操作手順が多く、パソコンに不慣れな当事業所の3人のケアマネたちは、導入当初から大パニックに陥りました。
「ここをクリックして、ファイルをダウンロードして、またソフトに取り込んで……」 アナログに慣れきった彼女たちにとって、これは本当に辛い作業です。
待ったなし!加算で「差別化」される時代へ
「こんなに面倒なら、元のFAXと紙に戻したい」 ネット上でも、ケアプランデータ連携システムに対する否定的なコメントをたくさん見かけます。 正直なところ、ITに詳しい私ですら「なんでこんな回りくどい仕組みにしたんだろう?」と思うことは多々あります。
しかし、だからと言って「やらない」「無視する」という選択肢はもうありません。
なぜなら、ICTの導入有無が、事業所の「経営」と私たちの「給与」に直結する時代になったからです。
- 施設サービス: 見守り機器やインカムの導入が「生産性向上推進体制加算」の算定要件に。
- 居宅介護支援(ケアマネ): 初めて創設されたケアマネ向けの「処遇改善加算」において、ケアプランデータ連携システムの活用が必須要件(※要件の一部)に。
国は明確に「IT化を進める事業所を優遇し、やらない事業所は置いていく」というメッセージを発しています。 この変化についていけない事業所は、加算が取れず、スタッフの待遇も上げられず、いずれ淘汰されてしまうでしょう。
令和8年スタート!さらなる大波「介護情報基盤」とは
さらに、ケアプランデータ連携システムだけでヒーヒー言っている場合ではありません。 近い将来、もっと大きなIT化の波がやってきます。それが「介護情報基盤」です。
【介護情報基盤とは?】 医療や介護に関するデータを、クラウド上のネットワークで安全に共有する国の仕組みです。
- 令和8年(2026年)4月: 順次運用開始予定
- 令和10年(2028年)4月: 本格稼働予定
これが始まると、ケアマネ、病院、サービス事業所、そして自治体が、利用者の情報を電子データでシームレスにやり取りするようになります。 「紙の認定調査票をFAXでもらう」「退院カンファレンスのサマリーを紙で受け取る」といったアナログなやり方は、過去のものになるでしょう。 今のうちに基礎的なITスキルを身につけておかないと、この巨大なシステムに対応することは不可能です。

国は、介護情報基盤が本格稼働するまでに、ケアプランデータ連携システムの普及率を上げたいと考えているようです。
PREP法で導く解決策:各事業所に「1人のITリーダー」を!
では、パソコンが苦手なケアマネばかりの事業所はどうすればいいのでしょうか? システムに文句を言っていても何も解決しません。 ここで、私が実践している解決策をPREP法で解説します。
- P(結論):各事業所に最低1人、「ICTに詳しいリーダー」を配置し、組織全体で底上げを図ることが必須です。
- R(理由):新しいシステムを導入した際、マニュアルを渡すだけでは現場は定着せず、身近に質問できる伴走者が必要だからです。
- E(具体例): 当事業所では、ICTに詳しいのは私1人です。自分のケアマネ業務も抱えているため、時間を割いて教えるのは正直しんどい時もあります。 しかし、事業所、ひいては法人全体のために、他の3人のケアマネに「1人でできるようになるまで、何度でも付き添って」教えています。 最初は全くできなかったスタッフも、隣で根気よくサポートすることで、少しずつ操作を覚えてくれています。
- P(結論):時間はかかりますが、ITスキルを持つ人間が業務の枠を超えてサポートし、事業所全体でITリテラシーを高めていくこと。これが唯一の生存戦略です。
まとめ
今回は、AI・ICT時代におけるケアマネの役割と、事業所としての対応策についてお話ししました。 記事の重要なポイントをまとめます。
【本記事のまとめ】
- 法人のICT投資と現場のITスキルには大きなギャップがある
- ケアプーの導入は処遇改善加算など「生き残り(差別化)」に直結する
- 令和8年からは「介護情報基盤」が始まり、さらなるIT化が必須になる
- システムを否定せず、事業所に「ITリーダー」を置き、全員で取り組むことが重要
新しいシステムは確かに面倒な部分もあります。 しかし、この時代の大きな流れに逆らうことはできません。 「どうせやらなきゃいけないなら、前向きに取り組んでやろう!」 そんな気持ちで、ぜひ事業所の仲間と助け合いながら、ICT化の壁を乗り越えていってくださいね。



