
全国のケアマネジャーの皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。
毎月の必須業務である「モニタリング訪問」。 スケジュールを組んで、「さあ、来週訪問しよう」と思っていた矢先、「利用者さんが急に倒れて入院してしまった!」という経験は、ケアマネなら誰しも一度はあるのではないでしょうか?
このような不測の事態で、その月内に利用者のお宅を訪問してモニタリングができなかった場合、運営基準違反(減算)になってしまうのでしょうか?
結論から言うと、一定の条件を満たせば「特段の事情」として認められ、違反にはなりません。 しかし、先日の集団指導(行政からのルール説明会)でも指摘があったように、この「特段の事情」の解釈を間違えたり、記録を怠ったりすると、実地指導で思わぬペナルティを受ける可能性があります。
この記事では、急な入院等でモニタリングができなかった場合の正しい対応方法と、絶対にやってはいけない解釈の落とし穴について解説します。 これを読めば、不測の事態にも慌てず、適切な記録を残して自分の身を守ることができますよ。
モニタリングの原則と「特段の事情」とは
まずは、大前提となるルールをおさらいしましょう。 居宅介護支援の運営基準(第13条第13号・14号)において、モニタリングは以下のように定められています。
【モニタリングの原則】
- 少なくとも1か月に1回、利用者に面接すること
- 原則として利用者の居宅を訪問して面接すること
- 少なくとも1か月に1回、結果を記録すること
これらを怠ると、原則として運営基準違反となり、減算の対象となります。 しかし、同基準には「特段の事情のない限り」という例外規定が設けられています。
利用者の急な入院や緊急の旅行など、物理的に居宅を訪問して面接することが不可能なケースは、この「特段の事情」に該当し、その月の居宅訪問ができなくても減算にはなりません。
ただし、自治体によって「特段の事情」と判断した場合の理由を求められるところもあるようで、いわゆる「ローカルルール」が存在します。その際必要な書類(支援経過等)の提出を求められる場合もあるようですので、必ず保険者に確認するようにしてください。
要注意!「特段の事情」にならないケース
ここで絶対に気をつけなければならないのが、「何でもかんでも特段の事情で処理できるわけではない」ということです。
以下の3つのポイントは、ケアマネが勝手な解釈をして陥りやすい落とし穴です。
- 「ケアマネ側の都合」は絶対にNG 「月末に忙しくて行けなかった」「自分がインフルエンザになった」といった、ケアマネジャーや事業所側の都合は、特段の事情とは認められません。あくまで「利用者側のやむを得ない理由」に限られます。
- 「予定されていた入院」はNG 例えば、白内障の手術などで「あらかじめ○日から入院する」と分かっていた場合は、特段の事情にはなりません。「入院する前(月初〜月中)に訪問できたはずだ」と判断されるからです。
- 「体調不良が予測できた場合」もNGの可能性あり 少しグレーな部分ですが、「月初からずっと体調を崩しており、いつ入院してもおかしくない状態だった」という場合も、「なぜもっと早く訪問しなかったのか」と指摘される可能性があります。
このように、特段の事情は「本当に予測不可能な急な事態」のみに適用される厳しいルールであることを肝に銘じておきましょう。

「特段の事情」の解釈を誤って、返戻となるケースもあるようです。
必須!支援経過への「具体的な記録」
特段の事情に該当する場合、一番重要なのは「支援経過(第5表)への記録」です。 先日の集団指導でも、「特段の事情が発生しているのに、その理由が支援経過に記録されていないケースが多い」と厳しく指摘されていました。
「入院したから行けなかったのは見ればわかるだろう」は通用しません。
- いつ、どのような理由で入院(不在)になったのか?
- なぜ、入院前に居宅訪問ができなかったのか?(急な発病であることの明記)
- 「特段の事情により、当月の居宅訪問によるモニタリングは未実施」と明確に記載する。
後から誰が見ても「なるほど、これは急な事態で訪問できなかったのだな」と納得できるだけの具体的な記録を残すことが、自分の身を守る唯一の手段です。

「〇〇と判断し、「特段の事情」とする」など、「特段の事情」と判断した理由を記載します。
入院中だから「モニタリングしなくていい」は間違い!
「特段の事情で行けなかったから、今月はモニタリング終了!」……ではありません。 居宅での面接は免除されても、「利用者の状況を把握する(継続的なアセスメント)」というモニタリングの本来の目的は免除されていません。
入院中であっても、以下の対応を行う必要があります。
- 家族や病院担当者からの情報収集 電話などでご家族や病院の相談員(MSW)と連絡を取り、病状や今後の見通し、退院に向けた課題などを確認し、記録に残します。
- 病院への訪問面会 コロナ禍が落ち着き、現在は病院での面会が許可されるケースも増えてきました。 私は、たとえ病院が遠方であっても、面会が許可されれば必ず直接訪問し、利用者様ご本人の顔を見て状況を確認するようにしています。(もちろん、病院のルールに従うことが大前提です)
退院後のスムーズな在宅復帰を支援するためにも、入院中の継続的な関わりは非常に重要です。
ローカルルールに注意!事前の確認を
最後に、私たちが常に悩まされる「ローカルルール」についてです。
特段の事情が発生した場合、私の自治体では特に書類の提出は求められず、支援経過への記録のみで対応可能です。 しかし、自治体によっては「特段の事情の発生を証明する理由書の提出」を義務付けているところもあります。
「隣の市では報告不要だったのに、自分の管轄では提出し忘れて指導された」ということがないよう、必ずご自身の管轄する保険者(市区町村)に、特段の事情の取り扱い手順を確認しておいてください。
まとめ
今回は、急な入院等でモニタリングができなかった場合の対応について解説しました。 重要なポイントをまとめます。
- 急な入院は「特段の事情」となり、居宅訪問できなくても減算にはならない。
- 予定されていた入院や、ケアマネ側の都合は特段の事情とは認められない。
- 支援経過に「特段の事情の具体的な理由」を必ず記録する。(集団指導で指摘多し!)
- 入院中も家族や病院と連携し、可能な限り面会するなどして継続的な状況把握に努める。
- 自治体によって理由書の提出など「ローカルルール」があるため必ず確認する。
急な事態で慌ててしまうのはご家族も同じです。 そんな時こそ、私たちケアマネジャーが冷静にルールに基づいた対応を行い、利用者様やご家族を安心させられる存在でありたいですね。
「少し体調が悪そうだな」と感じた時は、後回しにせず、早めにモニタリング訪問を済ませておくことも、リスク回避の有効な手段です。 毎日の予定調整は大変ですが、ルールを守って安全に業務を進めていきましょう。



