
ケアマネジャーの皆さま、毎月のモニタリング訪問、本当にお疲れ様です!
前回の記事では、「アセスメントの課題分析23項目(特に趣味や生きがい)は、初回で一度に聞けなくて当たり前。少しずつの積み重ねでいい」というお話をしました。

それは分かったけど……じゃあ、毎月の短い面談の中で、どうやって自然に『趣味』を聞き出せばいいの?
そんな疑問にお答えすべく、今回は実践編です! 「ご趣味は何ですか?」とストレートに聞いて、「何もないよ」「テレビ見てるだけ」と返されて終了……なんて経験はありませんか?実は、高齢者の方から本音の「好きなこと」「やりたいこと」を引き出すには、ちょっとしたコツがいります。
この記事では、私が現場で実際に使っている「モニタリングで『本音の趣味・生きがい』を自然に聞き出す会話術5選」をご紹介します。明日からの訪問で、パズルのピースがカチッとはまる瞬間を体験してみてください!
なぜ「趣味は何ですか?」と聞いてはいけないのか?
会話術の前に、一つだけ重要なポイントがあります。それは、「ご趣味は何ですか?」という直接的な質問は避けるということです。
なぜなら、高齢者の方にとって「趣味=人に誇れる立派なもの(書道、茶道、社交ダンスなど)」と思い込んでいるケースが多いからです。「ただ庭いじりが好きなだけ」「時代劇を見るのが好き」といった日常の楽しみは、本人の口から「趣味」としては出てきにくいのです。

趣味は何ですか?と聞いても、「何もないよ」と返されることが多くないでしょうか。
だからこそ、ケアマネ側から「別の角度」でアプローチする必要があります。
本音を引き出す!モニタリング会話術5選
1. 「お部屋の観察」から会話を広げる(モノから拾う)
一番簡単で確実なのは、利用者様のお部屋をよく観察することです。飾ってあるものは、ご本人にとって「意味のあるもの」です。
- ❌ NGな聞き方: 「ご趣味は何ですか?」
- ⭕️ OKな聞き方: 「〇〇さん、あそこに飾ってある写真、すごく素敵な景色ですね!どこに旅行に行かれた時のものですか?」
- 💡 発展: 「昔はよくご旅行に?」「また行きたい場所はありますか?」と繋げることで、「旅行好き」というアセスメントが埋まり、将来の目標(また旅行に行くためにリハビリをする)にも直結します。手作りの小物、カレンダーの風景、庭の鉢植えなども絶好のフックになります。
2. 「昔のお仕事や苦労話」から繋げる(回想アプローチ)
高齢者の方は、今の話よりも昔の話をするのが好きな方が多いです。誇りを持って働いていた時代の話から、自然に好きなことを探ります。
- ⭕️ OKな聞き方: 「〇〇さん、昔はどんなお仕事をされていたんですか?……へえ、大工さん!手先が器用なんですね。じゃあ、お休みの日はご自宅の修繕なんかもご自分でされていたんですか?」
- 💡 発展: 仕事で培った特技が、今の「日曜大工」や「モノ作り」への興味に繋がっていることがよくあります。「今は手が痛くてノコギリは引けないけど、本当はまた木工をやりたい」という本音がポロリと出るチャンスです。
3. 「今はできないこと」への共感から探る(ネガティブ転換)
加齢や病気によって「できなくなったこと」への愚痴は、モニタリングでよく聞かれます。実はこの「愚痴」の裏には、「本当はやりたいこと(趣味)」が隠れています。
- 利用者様: 「最近は膝が痛くて、外に出る気もしないわ……」
- ⭕️ OKな聞き方: 「そうですよね、膝が痛いとお辛いですよね。もし、その膝の痛みが少し良くなったら、〇〇さんは一番どこにお出かけしたいですか?」
- 💡 発展: 「本当はデパートに買い物に行きたい」「昔の友達と喫茶店でお茶したい」という答えが返ってくれば、それがその方の「生きがい」です。これをケアプランの目標に設定すれば、リハビリへの意欲も劇的に変わります。
4. デイサービスやヘルパーからの「情報」を使う(第三者話法)
ケアマネの面談では緊張して本音を言わない方でも、週に何度も会うデイサービスのスタッフやヘルパーには、気を許して好きなことを話している場合があります。
- ⭕️ OKな聞き方: 「この前、デイサービスの職員さんからお聞きしましたよ!〇〇さん、カラオケですごく素敵な歌声を披露されたそうですね!何の曲を歌われたんですか?」
- 💡 発展: 「第三者が褒めていた」という事実を伝えることで、ご本人の承認欲求が満たされ、嬉しそうに語ってくれます。「実は昔、コーラス部にいてね……」と、思いがけない過去の趣味が明らかになることも。

サービス事業所の担当者とは、常にコミュニケーションを図って関係性を作り、情報共有を行っておく必要があります。
5. ケアマネ自身の「自己開示」をする(返報性の法則)
人は、相手が自分のことを話してくれると、自分も心を開きやすくなります(自己開示の返報性)。ケアマネ自身のちょっとした失敗談や趣味の話をすることで、会話のハードルを下げます。
- ⭕️ OKな聞き方: 「私、最近運動不足解消のためにウォーキングを始めたんですけど、三日坊主ですぐ休んじゃうんですよ(笑)。〇〇さんは、何か長続きしていることや、昔から好きなことってありますか?」
- 💡 発展: 「あんたは若いんだから頑張りなさい!私はね、昔から〇〇だけは毎日続けていて……」と、ご自身の得意なことや日課について、リラックスして話してくれやすくなります。
まとめ:趣味を聞き出すことは「生きる意欲」を見つけること
今回のポイントを振り返ります。
- 「ご趣味は何ですか?」という直接的な質問はNG。
- ① お部屋の飾ってあるモノや写真から話を広げる。
- ② 昔の仕事や苦労話から、得意なことを探る。
- ③ 「できない愚痴」の裏にある「本当はやりたいこと」をキャッチする。
- ④ サービス事業所からの情報をフックにして話を振る。
- ⑤ ケアマネ自身のちょっとしたプライベートを話して心を開く。
アセスメントの23項目の中にある「趣味や楽しみにしていること」。これを埋めることは、単に書類の空欄を埋める作業ではありません。
それは、利用者様が「明日も起きたい」「リハビリを頑張りたい」と思うための『生きる意欲のスイッチ』を見つける作業です。
一回の面談で聞き出せなくても大丈夫です。前回の記事でお伝えした通り、毎月のモニタリングの中で、今回ご紹介した5つの会話術を少しずつ試してみてください。 いつか必ず、「あ、この人はこの話をしている時、一番いい顔をするな」という瞬間に立ち会えるはずです!



