
ケアマネジャーの皆さま、そして事業所の管理者・主任ケアマネの皆さま、日々の利用者支援に加えて、コンプライアンスを意識した事業所運営、本当にお疲れ様です!
今回は「ケアマネの仕事術&リアル」のカテゴリーから、事業所運営の要とも言える「虐待防止措置」について取り上げます。
先日、行政の集団指導に参加してきたのですが、そこで指導官から「虐待防止措置に関する整備不足」について、多くの事業所で指摘事項(NG)があがっているという生々しい話を聞きました。 「うちはマニュアルもあるし大丈夫!」と思っていたのですが、話を聞くうちに冷や汗が出てきて、慌てて事業所に戻って文言の見直しを行いました……。
皆さんの事業所は本当に大丈夫ですか?今回は、集団指導で指摘されやすいポイントと、居宅介護支援事業所が再確認すべき注意点をまとめました。
待ったなし!完全義務化された「虐待防止措置」とは
令和6年度(2024年度)から、すべての介護サービス事業者に対して「高齢者虐待防止措置」が完全義務化されました(経過措置の終了)。
実地指導(運営指導)において、以下の4つの要件がすべて満たされていない場合、運営基準違反として指導対象になります。
| 必須要件 | 概要 |
| ① 委員会の開催 | 虐待の防止のための対策を検討する委員会を定期的に(年1回以上など)開催し、その結果をスタッフに周知徹底すること。 ・テレビ電話装置等を活用して開催可能 ・他の会議体と一体的に開催が認められている ・他のサービス事業所等と連携して共同で開催可能(結果を周知しておくこと) ・記録の作成と保存(日時、出席者、議論、研修内容を具体的に記録する) |
| ② 指針の整備 | 虐待の防止のための指針(マニュアル)を作成し、事業所内に備え付けること。 (令和6年3月31日までに、運営規定に定めておく事となっています) |
| ③ 研修の実施 | 虐待の防止のための研修を定期的に(年1回以上など)実施すること。また、新規採用時(遅くとも1カ月以内)も必ず実施すること。 |
| ④ 担当者の決定 | 虐待防止に関する措置を適切に実施するための「担当者」を定めること。 (役割をしっかりと確認し明文化しておく) |
集団指導で判明!よくある指摘事項(NG例)
指導官のお話の中で、特に居宅介護支援事業所で多かった指摘事項は以下の通りです。
- ひな形を丸写ししただけの「指針(マニュアル)」 ネット上にある施設向けのテンプレートをそのまま使っており、主語が「入所者」になったままなど、居宅の業務実態に合っていない。
- 委員会の「議事録」がない 「会議のついでに話し合いました」と主張しても、それが「虐待防止委員会」としての開催記録(いつ、誰が参加し、何を話し合ったか)として書類に残っていない。
- 研修が「資料を配っただけ」 研修を実施したという実績がなく、単なる回覧板状態になっている。


【当事業所も焦った】居宅ならではの「指針」見直しポイント
当事業所でも指針(マニュアル)を見直しましたが、特に問題はありませんでした。 居宅介護支援事業所における虐待防止は、施設系サービスとは異なる「居宅ならではの特殊性」があります。指針を見直す際は、以下のポイントがしっかり明記されているか確認してください。
① 「自事業所のスタッフによる虐待」の防止
ケアマネジャー自身が、利用者に対して暴言を吐いたり、高圧的な態度(心理的虐待)をとったりしないための行動規範が書かれているか。
② 「他事業所・家族からの虐待」を発見した際のフロー
ここが居宅において一番重要です!ケアマネジャーは月に1回訪問するため、「家族からの虐待(ネグレクトや身体的虐待)」や「他サービス事業所の不適切ケア」の第一発見者になる可能性が最も高い職種です。 「あざを発見した」「怒鳴り声を聞いた」といった場合、担当ケアマネが誰(管理者や虐待防止担当者)に報告し、事業所としてどう市町村(包括支援センター)へ通報するのか、その具体的な連携フローが指針に組み込まれている必要があります。

当事業所でも、サービス事業所から「あざができている」「夫に叩かれているところを発見した」と連絡が来たり、ケアマネ自身が発見するケースが稀にあります。
💡 ワンポイントアドバイス テンプレートの「施設長に報告する」といった文言は、「管理者に報告し、市町村の高齢者虐待対応窓口へ通報する」など、自事業所の体制に合わせて必ず書き換えておきましょう。
まとめ:マニュアルは「作って終わり」が一番危険!
今回の集団指導を通じて痛感したのは、「書類が実態を伴っているか」を厳しく見られているということです。
- テンプレートは必ず「自事業所(居宅)のルール」に書き換える
- 委員会や研修は、必ず「記録(議事録・参加者名簿)」を残す
- 家族からの虐待を発見した際の「通報フロー」をスタッフ全員で共有する
実地指導の通知が来てから慌てて過去の日付で議事録を作る……なんてことは絶対にNGです(最悪の場合、虚偽報告になります)。
「うちはみんな優しいから虐待なんて起きないよ」という油断は捨てましょう。虐待防止措置は、利用者様を守るためだけでなく、万が一の事態が起きたときに「事業所とスタッフを守るための盾」になります。 明日の朝、ぜひ事業所のファイルを開いて、虐待防止の指針や議事録が最新の状態になっているか再確認してみてくださいね!


