
「国はケアプランデータ連携システムで業務改善できると言うけれど、本当にそうなの?」 「パソコンが苦手なスタッフに教える手間がかかって・・・、何度教えてもらって、なかなか操作が覚えられない・・・」
そんなふうに悩んでいませんか? 私自身、ケアマネジャーとして現場で働きながら、このシステムの導入に直面しています。 結論から言うと、パソコンが得意な人にとっては便利なツールですが、デジタルに不慣れなスタッフが多い事業所では、かえって負担が増大しているのが現実ではないでしょうか。
この記事では、私の事業所で実際に起きている「リアルな現状」と、現在の全国的な普及率、そして今後の見通しについて分かりやすく解説します。 この記事を読めば、「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と少し肩の荷が下りるはずですよ。
【結論】システム自体は便利だが、現場との温度差が大きい
ケアプランデータ連携システムは、長期的には業務改善に繋がりますが、短期的には現場の負担を増やす要因になっています。
その理由は、ケアマネジャーによってパソコンの得意・不得意の差(ITリテラシーの格差)が激しいからです。
国は「紙やFAXのやり取りがなくなって効率化できる!」と推進しています。また、ネットでも「ケアプランデータ連携システムを導入して時短できた、そのことによって担当件数を多く持てて収入が増えた」などという記事を見ることがありますが、「本当かなあ」と私自身も思うことがあります。
しかし、それはあくまで「全員がスムーズにシステムを使えた場合」の理想論にすぎません。 新しい操作を覚えることに強い抵抗感を持つスタッフがいる現場では、導入直後のサポートに膨大な時間がかかってしまうのです。
【実例】1時間以上つきっきり…現場のリアルな疲弊
実際に、私の事業所(私を含めて4人のケアマネが在籍)で起きているリアルな実態をお話しします。
当事業所では、昨年11月1日からケアプランデータ連携システムを導入・開始しました。時代の流れに合わせて、当事業所を含めて法人全体がICTを積極的に導入するようになり、各部署でデジタル機器やソフトを導入しています。
私はパソコンに詳しく操作に慣れているため、ケアプランデータ連携システムを使えば数分で(送付する量にもよりますが)作業が完了します。 しかし、私以外の3人はデジタル機器に不慣れです。 先日、他のケアマネが6つのサービス事業所に計25人分の利用表を送る作業をしたところ、なんと1時間15分もかかってしまいました。
その間、私はどうしていたかというと……
- 3人のケアマネにつきっきりで操作を教える
- エラーが出るたびに原因を調べて解決する
- 結果的に、その1時間10分は自分の業務が一切できない
昨年11月に導入して以来、今でもこの状態が続いています。 「国は何を考えているんだろうか……」と、正直ため息をつきたくなることもあります。パソコンが得意な人ばかりではないという現場のリアルが、少し置いてけぼりにされていると感じてしまいますよね。

昨年、「もしかしたら、ケアプランデータ連携システムを加算要件にしてくるかもしれないね」と事業所内で話していたところ、本当に、ケアマネの加算の必須要件になりましたよね。なので、当法人、当事業所でも導入となりました。
現在の導入率と今後の見通し
では、他の事業所はこのシステムをどのくらい導入しているのでしょうか?
WAM NET(福祉・保健・医療の総合情報サイト)のデータによると、2026年3月時点での全国のシステム利用事業所数は約3万7,000件です。 少しずつ増えてはいるものの、全国に膨大な数がある介護事業所全体から見れば、普及率はまだ1割強〜2割程度にとどまっています。

私の地域のケアマネさんの殆どは導入に消極的で、導入している居宅介護支援事業所は当事業所を含めて3事業所、サービス事業所においては、当法人以外では福祉用具事業所1か所のみ、地域包括支援センターでさえ導入していない状況です。
【今後の見通しについて】 普及スピードはゆっくりですが、今後は間違いなく「システム利用が当たり前」の時代が来ます。 その理由は以下の通りです。
- 国が強力に推進している
- 介護情報のデータ基盤化が進んでいる
(今年4月から介護情報基盤ポータルが運用開始され、2028年4月から本格運用開始予定とされています。厚労省は、これに合わせて、ケアプランデータ連携システムの普及率を上げたいと考えているようです) - 各種加算の要件に絡んでくる可能性が高い
(すでに、ケアマネの新たな加算(処遇改善加算)の必須要件となりました)
「大変だけど、仕方がないから使うしかない」というのが、多くの事業所の本音でしょう。 今はまだ普及の過渡期であり、産みの苦しみを味わっている段階と言えます。

パソコン操作の仕組みをある程度理解している私でも、ケアプランデータ連携システムの操作は複雑すぎて、場合によっては「FAXの方が早いのでは」と思ってしまうほどです。この複雑な操作はなんとかならないものでしょうか。この複雑な操作方法と、導入に費用の負担があることが問題であると、私自身は考えております。
(現在、ケアプランデータ連携システムにかかるライセンス料(21,000円)は、令和8年5月まで無料キャンペーン中ですが、令和8年度も延長される予定です。ただし、適合した介護ソフトが必要で、合わせて利用料が必要です)
デジタルが苦手なスタッフと乗り切るコツ
私の事業所でも、同僚のケアマネには毎回丁寧に教えています。 イライラしてしまうこともあるかもしれませんが、根気強く教えることは、後々必ず自分の助けになります。
教える際のちょっとしたポイントをまとめました。
- 専門用語は使わない 「クリック」「ダウンロード」ではなく、「このボタンを押す」「これを開く、閉じる」など、分かりやすい言葉に変換する
- 手順を極限まで減らした紙のマニュアルを作る 画面のスクリーンショットを印刷し、「①ここを押す」「②ここを確認」と手書きで書き込んだアナログな手順書が一番効果的
- 「失敗しても大丈夫」と安心させる 「変なボタンを押してもデータは消えないから大丈夫」と伝えるだけで、心理的なハードルが下がる
ケアプランデータ連携システムを導入したとなると、慣れるまでは負担が集中して大変かと思いますが、何度も繰り返すうちに、必ずみんな一人でできるようになります。 「私が事業所をIT化させている!」というくらいの誇りを持って、一緒にこの過渡期を乗り越えていきましょう!
【まとめ】
今回のポイントを振り返ります。
- システム導入の理想と、現場の「ITリテラシー格差」には大きなズレがある
- 教える側の負担は大きいが、全国の多くの事業所が同じ悩みを抱えている
- 2026年3月時点の普及率はまだ一部だが、今後は確実に標準化していく
- 分かりやすい言葉と手順書で、根気強く教えることが将来の業務改善に繋がる
今は「国は何を考えているんだ」と思うかもしれませんが、パソコンが得意な方も、苦手な方も根気強く「教える」・「教えてもらう」その時間は、事業所の未来にとって間違いなくプラスになります。 焦らず、少しずつ現場に定着させていきましょう。





